製作事例
- 櫛形状
- ワイヤー放電
超硬合金の高精度櫛形加工
- サイズ
- 30×30
- 材質
- G5
- 板厚
- 2.5
- 公差
- ±0.005
- ピッチ
- 0.5±0.005
ワイヤー放電加工によって、超硬合金に櫛形状の加工を行いました。高精度の加工を効率的に実現するための、設計・加工のポイントをご紹介します。
部品のご依頼の背景
大手電機メーカーより、超硬合金を櫛形状に加工した部品の製作をご依頼いただきました。超硬合金は硬い材料のため加工が難しく、適切な加工条件を見極めることが重要でした。
一般的に、超硬合金は研削加工で仕上げることが多くあります。今回加工した櫛形状の部品には、より繊細な加工が必要だったことから、ワイヤー放電加工を用いることにしました。
当社では以前から、水を使用したワイヤー放電加工による超硬合金の加工に取り組み、実績を積み上げていました。その経験を生かし、どのように加工すれば精度よく効率的に仕上げられるかを検討し製作に臨みました。
設計のポイント
設計・加工ポイントは下記3点です。
1.加工条件を最適化
ワイヤー放電加工では、ワイヤーを引っ張ることで、加工面の真直度や精度を高めることができます。しかし張力が上がり限界値に近づくほど、ワイヤーは断線しやすくなります。一方、張力を下げるとワイヤーが緩み加工面の精度が低くなってしまいます。
そのため、ワイヤーの張力に加えて放電量・放電時間・休止時間のバランスを複合的に考慮し、ワイヤー線が断線しない限界まで張力を上げ最適な加工条件を設定しました。また作業手順の組み合わせを工夫し、加工回数を減らしても面加工を高精度に保つ加工条件も検証しました。結果として作業にかかる時間を短縮し、かつ高精度な部品を完成させることができました。
2.最小限の試し加工
幅の狭い櫛形状の加工には、0.05φのワイヤー線を使用しています。最適な加工条件を確立するために、試し加工を何度か繰り返しました。
当社には「試し加工は3回まで」という創業者の言葉が受け継がれています。今回の事例でも、時間のロスがないように検討を重ね、加工条件の最適解を見出しました。
3. 機械の定期的な整備
ワイヤー放電加工の加工精度を安定させるためには、機械の整備と水の交換を定期的に行うことが大切です。また、ワイヤー放電加工は電気を扱うため、部品の汚れや消耗、水質に十分に配慮することが求められます。たとえば、目に見えない物質が水に溶けている場合、放電が適切に行われず、安定的な加工精度が得られないことがあります。
そのため、定期的に機械を清掃し、水をすべて抜いて新しく入れ替えることを徹底しています。基本的な環境の整備により、設定した加工条件が有効に機能し、高精度の櫛形加工が実現しました。
当社の技術担当者からのコメント
20年以上にわたって加工に携わる中で、日中は機械の設定を限界条件に近づけ加工を早く終わらせる、夜間は条件を落として加工を続けるといった経験を繰り返してきました。限界条件を探求し培ってきた知見が、現在の設計・加工技術につながっています。これまでノートやパソコンに蓄積してきたデータを参照しながら、新たな依頼にも取り組み、最適な加工条件を導き出しています。