Blog
- ワイヤー放電加工
部品の表面に複数の異なる粗さを持たせる形彫放電加工の事例
切削・研削・放電の3つの加工技術を組み合わせて複雑な金属部品を製作できる株式会社大東技研です。大東技研では、形彫放電加工やワイヤー放電加工をはじめ、高精度な金属加工に対応しています。
精密加工というと、一般的には表面をより滑らかに仕上げることが求められます。しかし、製品の用途によっては、あえて表面を粗くしたいというご要望をいただくこともあります。
今回は、部品の表面の追加工として、表面を意図的に粗くする形彫放電加工を行った事例をご紹介します。長年の加工経験と現場での試行錯誤を重ね、指定された面粗度を実現した事例です。

部品の表面をあえて粗くしたいというご依頼
今回ご相談いただいたのは、金属部品への追加工でした。
お客様から求められたのは、部品の表面に複数の異なる粗さを持たせることです。
通常、放電加工後の表面に生じる細かな凹凸は、できるだけ滑らかに仕上げる対象となります。しかし今回は、形彫放電加工によって生じる独特のざらつきを、製品に必要な表面状態として残したいというご要望でした。
形彫放電加工で表面粗さを調整する難しさ
形彫放電加工は、電極と加工物の間に放電を発生させ、その熱によって金属を少しずつ除去する加工方法です。
切削工具を直接当てることなく加工できるため、硬い材質や複雑な形状、細かな部分の加工に適しています。また、使用する電極の形状や放電条件を調整することで、高い寸法精度を狙えることも特徴です。
一方で、加工後の表面には放電による細かな凹凸が残ります。一般的な加工では、この凹凸をできるだけ小さくし、滑らかな面に仕上げる方向で加工条件を調整します。しかし今回は、その凹凸をあえて残し、さらに指定された粗さへ近づける必要がありました。
通常とは逆の考え方で条件をつくらなければならず、単純に過去の加工データを流用することはできませんでした。
放電の強さや加工時間、電極の状態など、複数の条件が加工面の仕上がりに影響します。数値を大きくすれば、そのまま狙った粗さになるとは限らず、寸法への影響も考えながら調整する必要があります。
過去の設定値がない中で加工条件を検討
今回の加工は、大東技研にとっても初めての内容でした。
機械へ入力する設定値だけを頼りに加工を進めるのではなく、これまでの放電加工で培ってきた経験をもとに、加工後の表面状態を確認しながら条件を探っていきました。
担当したのは、放電加工に長年携わってきた技術者です。放電加工では、同じような設定値を使用しても、材質や加工面積、電極、加工する深さなどによって仕上がりが変わります。過去の経験から、
「この条件であれば、どの程度の放電痕が残るか」
「ここからさらに条件を変えると、寸法にどの程度影響するか」
を予測しながら加工を進めました。
加工後の表面を確認し、狙いより滑らかであれば条件を変更し、粗くなりすぎる可能性があれば調整幅を小さくする。そうした試行錯誤を重ねながら、求められる面粗度へ近づけていきました。この積み重ねにより、最終的にはお客様が求める2種類の面粗度を持つ表面を実現することができました。
これまで滑らかに仕上げる方向で使ってきた形彫放電加工を、あえて粗くするために活用する。通常とは逆のご要望でしたが、加工方法を固定せず、目的から考えることで対応できた事例です。

図面の数値だけでは分からない要求にも対応
金属加工のご相談では、寸法や公差だけでなく、表面の状態や手触り、摩擦、部品同士の接触具合などが製品の機能に関わることがあります。
「滑りにくくしたい」
「接触する面に一定のざらつきがほしい」
「通常の切削加工とは異なる表面をつくりたい」
といったご要望は、図面の寸法だけを見ても判断できない場合があります。
大東技研では、図面に記載された数値を加工するだけでなく、その表面が何のために必要なのか、どのように使用される部品なのかを確認しながら加工方法を検討します。
今回のように、初めての条件であっても、これまでの加工経験を応用し、試作や条件調整を重ねることで実現方法を探ります。
形彫放電加工や特殊な面粗度でお困りの方へ
大東技研では、形彫放電加工、ワイヤー放電加工、マシニング加工、研削加工などを組み合わせた精密金属加工に対応しています。
「表面を滑らかにするのではなく、あえて粗くしたい」
「特殊な面粗度を求められているが、加工方法が分からない」
「切削加工では難しい形状や材質を加工したい」
「過去に実績のない加工について相談したい」
「他社では対応が難しいと言われた」
そのような案件も、まずは図面や使用目的、必要な精度を確認したうえで、加工方法を検討します。
数値だけでは伝わりにくい表面の状態や、製品の機能に関わるご要望についても、現場の技術者が内容を確認しながら対応方法を考えます。ぜひお気軽にご相談ください。